借地を返してもらいたい/借地を返せと請求された

「借地」の返還をめぐる問題は、その土地を使用したい土地所有者の方と借地人の方の対立が先鋭化しやすく、トラブルに発展するケースも多いものと思われます。

また、古い借地は、時の流れによって、権利関係が不明確になってしまっている場合も多く、これもトラブルを招く一つの要因となっています。
なお、平成4年8月1日以前から存在する借地に関しては、旧借地法が適用されます。

借地の返還が問題となる場面は、様々ありますが、大きく分けると、(1)地代不払いや借地権の無断譲渡などの契約違反による解除を原因とするケースと、(2)借地期間が満了し更新を拒絶するケースがあります。


 

(1)契約違反による解除のケース


借地人に契約違反があれば、地主から契約を解除することとなりますが、判例上、借地契約については「信頼関係を破壊するに至らない契約違反」の場合には解除をすることができないこととなっています(「信頼関係破壊の法理」)

それでは、具体的にはどの程度の契約違反があれば、裁判上、解除が認められるのでしょうか。

これには決まった基準というものはありませんが、地代不払いに関しては、建物賃貸よりも多額の地代不払いがなければ解除することは難しいとされています(数カ月の地代滞納では、解除が認められない傾向にあります。)。

借地権の無断譲渡(借地上の建物の譲渡)に関しては、重大な契約違反ではあるものの、譲渡の経緯などから、未だ信頼関係が破壊されていないと判断される場合もあるようです。

なお、借地人は、建物を譲渡しようとするときは、地主の承諾を取る必要があります。
地主がどうしても承諾しない場合には、承諾を求める訴訟を提起することとなります。

 

(2)期間満了の更新拒絶のケース


裁判所において更新拒絶が認められるには、更新を拒絶する「正当事由」が必要とされています。

借地借家法上では、この「正当事由」について、①双方の土地使用の必要性②借地に関する従前の経過③土地の利用状況④立退料、を基準とすると定められています。

裁判においては、これらの基準に則って、個々の事案における事情を主張立証していくこととなります。

例えば、土地所有者においてどうしてもその土地に住まわなければいけない事情があるとか、以前から借地人が地代を滞納しがちであるとかなどの事情を考慮することになります。

なお、上記④の立退料は、これらの事情の補完要素とされており、立退料を支払いさえすれば、必ず借地人を立ち退かせることができるということ間違いですので、注意が必要です。

借地の返還にかかわるトラブルが生じましたら(またはトラブルが起こりそうでしたら)、どうぞご相談ください。