【賃貸オーナー向けコラム】 家賃を支払わない賃借人を退去させたい場合

2020/05/01


賃貸経営を行う上で、家賃を支払わない借主を退去させたい場合には、どうすればよいでしょうか。

もちろん、家賃の支払を請求し、賃借人が任意に(自分の判断で)退去してくれればよいのですが、家賃も支払わない、退去もしないということになると、オーナー(及び賃貸管理会社)側には困った事態となります。


 

弁護士から内容証明郵便+訴訟提起

オーナーから家賃支払いを請求しても支払わない場合には、弁護士へ依頼をして、弁護士から内容証明郵便にて、家賃の支払を催告(請求)し、相当期間が経過しても家賃を支払わない場合には、賃貸借契約を解除して、立退き(明渡し)を求めます。

それでも、退去しない借主であれば、早期に貸室の明渡訴訟を提起することをお勧めします。

これは、訴訟を提起しても、裁判所にて明渡しの判決がなされるまで相当の期間がかかり、借主が本気で居座ろうとする場合には、退去がそれだけ遅れてしまうからです(家賃未払いの期間が延々と続くことになりかねません。)。

ただし、裁判所での審理となった場合には、賃貸借契約の解除が有効と認められる必要があり、そこで重要になってくるのが、次の「信頼関係破壊の法理」になります。


 

信頼関係破壊の法理とは?

賃料未払いの場合には、賃料支払いを催告(請求)し、相当期間が経過しても支払いをしない場合には、賃貸借契約を解除して、退去(明渡し)を求めます。

しかし、賃貸借契約は、人的な信頼関係に基づく継続的な契約であることから、「法律的な話」(裁判所で争われた場合)として、賃貸借契約の解除が有効となるには、信頼関係が破壊されたと認められる程度の背信的行為を賃借人が行ったと認められる必要があります。

これを、「信頼関係破壊の法理」と呼びます。

この法理によると、例えば1月分の家賃の支払を怠っただけである場合には、賃貸オーナー側(オーナの代理人弁護士を含む)が行った家賃未払いによる解除は法的に有効にならず、裁判所の審理としては、解除が認められない(=明渡訴訟でオーナー側(原告側)が負ける)、という結果になります。


 

何か月分の家賃未払いがあれば解除が認められるの?

では、家賃未払のケースで、何か月分の家賃未払いがあれば「信頼関係が破壊された」といえるのでしょうか。

これは、一般的に「単純な賃料未払いの事案であれば」、3か月分程度の賃料未払いがあれば、信頼関係が破壊されたといえ、解除が有効になるといえます。

上記で「単純な賃料未払いの事案であれば」と限定したのは、家賃未払について、賃借人側に、くむべき事情がある場合や、家賃未払いの理由に賃貸人側の債務不履行が関係している場合等には、3か月分家賃未払いでも、信頼関係破壊が認められないケースもあるものと考えます。

一方、2か月分家賃未払いでも、それまでの賃料支払いの状況やその他の債務不履行の状況を合わせて考慮し、信頼関係が破壊されたと認められるケースもあるものと考えています。


 

まとめ

結局のところ、どのような場合に「信頼関係破壊」が認められるかはケースによるということになりますが、いずれにしましても、家賃未払いは、賃貸オーナーや賃貸管理会社にとって、由々しき事態であることは間違いがありません。

そのような場合には、早期に弁護士へ相談をされることをお勧めいたします。


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